2013年9月21日土曜日

第4回 鳴尾浜臨海公園

風はすっかり秋へと移行した9月15日。
この日は、「オレンジページ」さんが取材に来て下さいました。11月の特集で少しだけ取り上げて下さるそうなので、皆様もぜひ手にとってご覧下さい。

第4回目となるこの日のガーデンのテーマは
「まほうのスプレーをつくろう」

種から育てている教室の野菜が、あまり元気がなく、芽が伸び悩んでいました。

そこで、野菜に元気を与え、病原菌を少なくしながら、虫除けの効果もあるというまほうの液体を作ることにしました。その名は「えひめAI」。いま、注目を集めているこの液体は、本来は環境に無害な浄化微生物により家庭の浄化槽を清掃する目的に開発されたものです。



 

今回は、初めて参加する子も多かったので、一通りガーデンを散策しました。同じ野菜の仲間でも、葉っぱを食べるもの、実をたべるもの、花を食べてもいけるものなど色んな種類があることを散策しながら学んでいきます。




「えひめAI」の優れている点は、3つの菌の力を使うということろ。
3つの菌とは、納豆菌、酵母菌、乳酸菌の3つ。
それぞれの働きは次のとおり。

納豆菌:有機物を分解する
酵母菌:砂糖をえさにして栄養分を生成する
乳酸菌:雑菌をやっつけて病気になりにくくする



これらの見えない菌の働きにより、野菜は栄養を補給し、病気やカビの繁殖、虫からの防虫効果が期待できて、元気に育っていくサポートをしてくれます。

 
作り方を少しご紹介。材料は上の図のとおり。
納豆、ドライイースト、ヨーグルト、砂糖。
それからお風呂より少しぬるいくらいのお湯。
 
まず、粉物のドライイーストと砂糖を混ぜます。

 
そこにヨーグルトを足して、混ぜ合わせます。
次に、納豆にお湯をかけてぬるみをとりながら
納豆菌をお湯の中に入れていきます。
 
そのお湯をさきほどの材料に入れてシャッフルします。
全ての材料とお湯ができたら、24時間おいてお水を足して完成!
完成したものを希釈させて、野菜にかけます。

菌は教室中も元気に生きていて、教室終了時にはブクブク泡立ってました。
さて、みんなが作ったまほうのスプレーの効果はいかに!?
時間経過が楽しみですね!
 
 
 
続いてのキッチンのテーマは「触感と食感の違いを感じ、野菜の組み合わせを考えよう」
(イラスト by CHO-CHAN

このレッスンでは、 同じ材料で全く違う触感の料理に仕上げ、食べ比べてみるというもの。
今回選んだ食材は「ビーンズ:豆」です。
メニューは、豆がゴロゴロ入ったのビーンズサラダと、豆をペースト状にしたビーンズスープの二種類にしました。



サラダ班は、前回までのレッスンで鍛えた味覚で
ビーンズを和えるドレッシングの味を探りながら作っていきます。
 
スープ班は、トマトと玉ねぎと豆を炒めたあと
チキンスープを加え、材料をペースト状にしていきます。
 
盛りつけ班は、彩りを考え食欲がわくような
盛りつけで食べる準備を整えていきます。
 
みんなで分担すると仕事がはやい~
 さぁ、美しくて美味しそうなサラダとスープの出来上がり!
 
 
 
最後に、野菜の組み合わせを考えながら食べるというテーマに沿って
作ったビーンズサラダも含め、好きな具材でピタサンドを作って食べました。 

 
 
 
同じ食材が違うものへ変身する不思議さ。
野菜が種から色んな形に変身していくのと同じくらい
料理での変身も不思議に満ちています。
普段、気にしないような当たり前のことを少し手間をかけながらもう一度考えてみる。
そこにたくさんの不思議が詰まっていることが発見できたら
野菜を育てていく時間も、料理してみんなで食べる時間も
愛おしさに満ちた大切な時間に変わるのではないでしょうか。


さて、来週はいよいよ最終回。

 どんなフィナーレが待っているのでしょう。
今からドキドキ胸が高鳴ります!!お楽しみに…

2013年9月9日月曜日

Edible Schoolyard 訪問!!

私たちが種から育てる子ども料理教室をはじめるにあたり、多大な影響を受けたのがカリフォルニアのバークレーで約20年前に始まった「Edible Schoolyard」。

今回、憧れであった「Edible Schoolyard」へ訪れるチャンスに恵まれました。
そこで出逢った素晴らしいガーデンとキッチンでの様子を少しご紹介したいと思います。

 
Edible Schoolyardはサンフランシスコの対岸にあるバークレーのMarthin Ruther King Jr. Middle Schoolの一角にあります。はじまりは1995年、約20年前にさかのぼります。バークレーで地産地消のオーガニックフードを提供し、その美味しい料理で一躍有名になっていた「Chez Paniss」のシェフAlice Watersが、荒廃した学校を苦慮して校長とともに学校に菜園とキッチンを作ったのです。

子どもたちが野菜を育て、調理し、ともに食卓を囲むということが、家庭で食事をすることが難しくなった現在において非常に重要であるとAliceは言います。当時、多民族が共生する校内が争いが絶えませんでしたが、ガーデンとキッチンでの学びは多様性を認め合うことを学ぶにはふさわしい場所でした。はじまりから20年。今では、Edible Schoolyardの考えは全米をはじめ、ヨーロッパやアジアにまで広がり、生命の基本を学ぶプログラムとして子どもたちを導いています。

私がEdible Schoolyardに訪れた時も、木々と植物に囲まれた地があらゆる訪問者を迎え入れてくれました。ガーデンでは心が伸びやかになり、自然と解放されていく感覚になりました。

ガーデンの中には、子どもたちお手製の看板があります。「TRY ONE!」

ガーデン全体がグリーン!!地面にもグランドカバーの植物が生えています。
日本の畑は土色が目立ちますが、こちらでは植物の色が主張しています。



ガーデンの道具は子どもたちが元あるように整頓できるように色分けされています。
片付けなさいと怒る前に、片付けられるように構造化してあげることが大事です。



 
道具小屋の裏でニワトリが飼育
ニワトリを飼うことで卵の恩恵を受けたり、鶏糞を畑に返す
ニワトリはガーデンの草刈名人
生き物との付き合い方を学ぶ
 
水の生態系を学ぶ池

 
レンガと石のオーブン
収穫したてのものをここで調理することもある

 
 
一方、キッチンでも、歴史、科学、生物、文化、地理など、食材や食材が運ばれてきたルートを知ること、味の変化がなぜ起こるのか等について教科との繋がりをもたせながら学びます。
体験から知識を学ぶことで、子どもたちには生きた知恵となる力が身についていきます。キッチンでは調理スキルを磨くだけでなく、このような生きた知恵と技を身に付け、そして何より異なる文化を認め合い、尊重し、共に生きていくことを学ぶ場となるのです。


キッチンの入口をはいるとすぐにある黒板
「COME TO YOUR SENSES」

本格的な調理道具が並ぶ棚
 
奥にはカトラリーや残り物の返却台


この日は、品種の違うトマトを味わい、調理し
その味を五感を働かせながら表現するというレッスン
 
 

20年前にAlice Watersが先陣をきって行われた「食べられる校庭」は子どもたちと地球とを繋ぎ、キッチンでの美味しいひと皿が子どもたちを一つのコミュニティーへと繋げていくのです。
「Delicious Revolution」美味しい革命はまさに、持続可能な価値観と生きる喜びを人々が取り戻すための幸せで、歓びに満ちた革命なのではないでしょうか。

日本でもいつかEdible Schoolyardのような場所が当たり前のように子どもたちの前に開かれている日が来ることを願い、小さな一歩を積み重ねていきたいと思います。